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たった1度

第6章 〜 消せない想い 〜


翔 「ごめんな・・・。」

そう言って座り込むあたしの前にしゃがみ込み

そっと頭を撫でる


翔 「気付いてやれなくて・・・。つらかったな・・。」

 「っく・・・・・。」



翔ちゃんは泣くあたしにそれ以上何も言わず


優しく頭を撫でて続けてくれた








翔 「落ち着いた・・・?」


しばらく経ってあたしの顔を覗き込む様にして聞く


「ごめ・・ん・・ね。」

翔 「おまえが謝る様なことじゃないよ。」


「・・・・・・。」


翔 「今更だけど・・俺ちゃんと話し聞くから。だからさ」


翔ちゃんはそこで1回言葉を区切ると


翔 「あんまり自分の事イジメんなよ・・・。」

と苦笑いをしながら言った





電話でも、手紙でもメールでもなんでもいい

話せる様になったらちゃんと話して

とそう言って翔ちゃんは帰って行った



翔ちゃんは気付いてしまった

ひとりでどうにかするしかないと

そう決めたあたしの想い



誰かが知っていてくれるという

安堵感


知られてしまったという

焦燥感



相反する気持ちを抱えて


あたしはひとり眠れない夜を過ごした


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