第6章 〜 消せない想い 〜
あの夜から2週間
潤をあきらめる為に覚悟した
あの夜
潤は覚えていないと
翔ちゃんは言ってた
それで良いんだという思いと
少しの刹那
矛盾してる自分は
卑怯だ
そろそろ寝ようかと
読んでいた雑誌を閉じ
そのままソファに横になる
潤を一番近くで感じた
あのベットでは
あの夜以来
ひとりでは寝れない
ウトウトし始めた頃
意識の遠くの方で聞こえる
インターホンの音に
目が覚める
反射的に時計を見ると
もう日付が変わって大分経ってる
こんな時間に誰だろう?
警戒しつつインターホンに答えると
「俺だけど・・ちょっといい?」
翔ちゃん・・・?
なんだろう
あんまり会いたくなかった
あたしは乱れる心を必死で
整えて
ドアを開ける
翔 「ごめんな・・遅くに。」
「ん。大丈夫。まだ起きてたし。」
翔ちゃんは何も言わずソファに座ると
両手を組みおでこに手を当てて俯いてる
「何か飲む・・・?」
翔 「いや、大丈夫。」
「どうしたの・・・?何か・・・あった??」
翔 「あのさ・・・」
「ん?」
翔 「こないだはごめんな。俺、ひどい事言った・・・。」
言いづらそうに話す翔ちゃんの思いがけない言葉に
一瞬どんな風に答えたら良いか分からず
慌てて答える
「そんな事ないよー。翔ちゃんの言ってた事は正しいもん。ホントあたしがバカだったなぁーって。こちらこそごめんなさい。」
そうおどけて頭を下げる
顔を上げれば翔ちゃんもきっと
笑ってくれると思ったら
翔ちゃんの表情は硬いままで
それでいて悲しそうだった