第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合前夜〜
買い物をし家に帰れば、学生2人は勉強。残りの1人は寝床の準備。
今まではリエーフと蛍の2人だったから、リエーフの部屋で2人で寝てもらっていたけれど、クロが増えたのならそうもいかない。
リビングに3人で寝てもらうことにしたので、時間のありそうなクロに布団を敷いてもらうことにしたのだ。
掃除機をかけてもらって、それから布団。
それ以外は自由…と伝えたが、クロも課題をこなしているようだ。
私も今日の分の仕込みをしなきゃとキッチンに立ちしばらく作業をしていれば、廊下を進むゆったりとしたスリッパの音。
顔を上げればそれはクロで、興味津々に下拵え中の鍋たちを見ていく。
「今年もすげえな。つか何作んの?」
『えっと、今年も基本的なやつは作るよ?栗きんとんとか伊達巻きとか。あとは去年みんなの箸の進みが悪かったものはアレンジしたりとか?今回はローストビーフもつくろうかなって。』
「それ以外にも飯作るんだろ?明日の夜はそばだっけ?よくそこまで作れるよな。」
呆れ顔で笑うクロに首を傾げながら休憩用にお湯を沸かす。そしてクロに問われたことの答えを口に出した。
『クロはバレーをするための走り込みや筋トレ、基礎練を苦って思わないでしょ?それと一緒。好きで高いところを目指すのに嫌だなんて思わないよ。』
あっけに取られたような顔、からの柔らかな笑顔。
そうだな。
ふわり、と呟かれた言葉は、頭に乗せられた手のひらと共に私を撫でていった。