第5章 わちゃわちゃGW。
試合は1試合目が音駒、2試合目は烏野の勝利に終わった。
帰り支度を始める烏野。
あ、そうだ。
すっかり忘れてた。
『けーしんさん!これ、みんなに…』
そう言って渡したのはたくさんのパウンドケーキ。
プレーンにココア、抹茶にキャラメル。
バスの中でも食べられるようにちゃんと1つずつ小分けに切っておいた。
『お腹空くだろうし帰りに食べてください。』
そう言ってパウンドケーキの袋を渡せばけーしんさんは新部長の縁下くんに袋を渡す。
「おら縁下、お礼。」
その声で烏野は全員集合。大きな挨拶が体育館に響いた。
バスに乗り込む烏野のメンバーを送り出しながら、私は別の袋を取り出す。
『ねえ、蛍?』
「何?美優さん。」
『昨日の約束、覚えてる?』
昨日の約束。
いちごのアイスを買ってあげるといったあの約束。
さすがにいつ渡せるかわからないのにアイスを買うのもなと作ったのはいちご味のマカロン。
それが入った袋をポンと蛍の手に乗せる。
「いちご…」
『ちゃんと約束は守ったからね?』
そう言えば蛍の細いけれど男らしい指がぽんと頭に乗った。
「ありがとうございます…」
照れくさそうに顔を背ける蛍も悪くない。
そう思っていれば後ろからがばりと長い腕に包みこまれる。
「ツッキーばっかりズルい!」
『ちょっと!リエーフはいつでも食べられるんだから!』
「…うるさい…」
「美優さん、ツッキーに甘いんじゃない?いつも俺には厳しいくせに!」
『それはリエーフが早めにプリント出してくれなかったり制服脱ぎっぱなしにするからでしょう⁈』
「う…そうだけど…」
『今までみたいに全部私がやるの?ちゃんと自分のことは自分でやるって決めたでしょう?』
そう、私が厳しい口調で言えばリエーフは少ししょんぼりしながらもごめんなさいと謝った。