第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合前夜〜
軽く身支度を整えていれば、起きてきた蛍と鉢合わせ。朝ごはんを全員で食べると、まずは2人と一緒に明日みんなが来た時のための準備を始める。
と言っても、お客様用のタオルの準備と部屋に掃除機をかけるのと布団にカバーをかけるだけなんだけどね。でも枚数が多いから、4人分の掛け布団敷き布団にそれぞれカバーをかけていく。
天気の良い日に干していた布団はふかふかで、仕上がりに大満足。
1組だけ私の部屋に運び、他3組はリビングの端っこにまとめて置いておけば準備はOK。
あとはお昼ご飯を食べたあとに今日の分のおせちの準備をすれば…なんて考えていれば、急にリエーフに呼ばれる。
「今、電話来てて。黒尾さんが美優さんにって…」
首を傾げながらリエーフの端末を受け取れば、久々…でもないクロの声。
「悪いな美優。ちょっと相談いいか。」
『いいけど、どうしたの。』
何だろうと首を傾げるが、クロは言いにくそうに言葉が淀む。
「1日早いんだけど、泊めてくんねえ?」
『理由は。』
言葉をかぶせる勢いで聞き返せば、一瞬息を詰まらせる。
「……エアコンが、壊れました。」
『緊急事態だね。』
「……で、年末年始なので修理もすぐは難しくて、代わりの暖房って思ったんだけど、年始の方が新年特価で安かったりするじゃん…?」
確かに緊急事態。ある程度の手を尽くした上での相談だろうからすぐにOKを出す。電話越しに聞こえるほっとした声に思わずくすりと笑いながら言葉を続ける。
『莉奈ちゃんは一緒じゃないの?』
「あいつは宿題が終わらないから今日は家。多分言っちまうと来たいって駄々こねるから言わないでな。」
普段から駄々を捏ねられているのだろう。クロは好きな子相手には甘いんだなと笑みを溢しながらその秘密も了承した。