第28章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、集合前夜〜
「無理しないって言ったじゃないですかー!」
食事のち帰宅、入浴を終えた私がキッチンに向かおうとすれば、蛍の次にお風呂に入ろうとしたリエーフが叫ぶ。
夕飯のために中途半端に止めてしまったおせちの仕込みをしてから眠ろうと思ったが、そうもいかないようだ。
『さっき中途半端だったから片付けもしなきゃだし…』
「片付けなら風呂終わったら俺がやります。」
『今日仕込まなきゃならないものもあるし…』
「教えてもらえたら風呂終わったら俺やっちゃいます。」
『リエーフのお風呂の間にやっちゃうよ?』
「美優さん、今日何時間キッチンにこもってました?」
…これは、私が折れるまで諦めないやつだ。
そうはいっても、今日やらないと間に合わないものもあるから、私も折れたくない。
どうしようと視線を彷徨わせていれば、ふと別の視線が合う。その瞳の間…眉間に皺が寄るのが見えれば小さなため息が吐かれた。
「じゃあ僕が監視してたらいい?それに洗い物くらいならできるから時間短縮にもなるし。灰羽、洗濯物もあるからそれが終わるまで、もし終わらなかったら2人で監視か強制で部屋まで運ぶ。どう?美優さんもそれでいい?」
リエーフのお風呂の時間、洗濯終わって干す時間を考えたら…
『ん、いける…はず…』
「じゃあ俺も急ぎますね。」
私の返事を聞くと、そう言ってリエーフはさっさと部屋から出ていく。
残った2人で顔を合わせれば、目の前の眉間の皺は残ったままだ。
『蛍、ありがと。』
「お礼言う前に作業始めてください。終わらなかったら部屋に強制送還したあとドアの前で寝ますからね。」
…蛍がそう言うんなら、リエーフは…強制的に寝かしつけようとするだろう。
流石にそれは阻止したい。
『急ぎます…』
「お礼はあったかいココアね。」
『じゃあ洗い物頑張ってね。』
「はいはい。」
今日やることは残りわずか。
蛍に洗い物やってもらえるならすぐ終わるから、頑張ろう。
なんて、蛍に感謝をしながら私は再びキッチンへと戻ったのだった。