第27章 2回目の誕生日
リエーフに手伝ってもらいお風呂に入り髪まで洗ってもらう。ドライヤーをかけてリビングに戻れば良い香り。いつのまにか朝食が出来上がっていた。
「あ、美優さん体大丈夫?」
リビングの机に並べられた食事は昨日私が作ろうと思っていたものよりも少しだけ豪華。
ごろごろ野菜とウインナーのポトフとスクランブルエッグ、付け合わせにほうれん草ととうもろこしのバターソテーが並んでいる。
そしてリエーフは昨日プレゼントしたエプロンを身につけていた。
私の視線に気づいたリエーフはふにゃりと顔を綻ばせる。
「早速使っちゃいました。」
綺麗なブルーグレーのエプロンはやっぱりリエーフに似合っていて、それを見るだけで頬が緩む。2人分の茶碗を持ちリビングに来たリエーフを正面から抱きしめると、上からふふ、と笑い声が聞こえた。
「エプロンいいっすね。気合い入る。」
『やっぱりその色似合ってる。ご飯美味しそう。ありがとうね?』
「ん…昨日いっぱい無茶させたし。」
…そう、だけど。
『でも誕生日の次の日くらいゆっくりしたいでしょ?』
胸元…いや、お腹のあたりから顔を出して見上げるとリエーフは柔らかく笑う。
「みーゆさん、誕生日って日常なんですよ。特別だけど、生活の一部。」
私に抱きつかれたまま茶碗を机に置くと、リエーフは空いた手を私の背中に回す。
「だから昨日も今日も日常。だから今日は俺がご飯作るのも日常。」
納得したように頷くと体を包む腕が緩む。そのまま目の前にしゃがんだリエーフは柔らかく目を細めて笑う。
「今日はエプロンパワーでご飯うまくいったからしっかり食べていってくださいね。」
微笑むリエーフに好きの気持ちが強くなる。
そのまま頬を両手で包み口付けると唇を奪いリエーフの腕から抜け出す。
『じゃあ学校に遅れないように早く食べよ。』
席に座ればほかほかのご飯。
リエーフと私、こんな日常がずっと続けばいいなと心から願った。