第26章 音駒がくえんさいっ!
1年教室まで戻る道すがら、マサちゃんは再び私に話を振る。
「灰羽の衣装はお前の…じゃねえよな。サイズが合わねえもんな。」
…は?
いや、リエーフの洋服を私が借りることはあっても逆はサイズの問題があるから難しい。怪訝な顔で見ていたのだろう。マサちゃんはそれに気づきとたんに口元を笑みに変えた。
「へえ…知らねえのか。あんなにハマり役なのによ。」
『本人が言わないんだから聞けないでしょ。無理に聞き出したくはないし。』
ふいとそっぽを向けば、堪えるような笑い声。視線を戻し睨みつけてやれば、今度はお腹を抱えて笑い出した。
「っ…、じゃあヒント…はー、灰羽は昨日のミスターコンで1位でした。その時にクラスの出し物の宣伝をしたんだけど「ギャップで魅せます。」だったんだよ。で、昨日の準備中にその格好で宣伝始めて話題を掻っ攫って行った…ってわけだ。」
わかったかーなんて言われても、今までのヒントをかき集めても赤いリップに女物の服装をしているかも…ってことだけ。
「まだわかんないか…じゃあこれが最後のヒントな。」
何、と悩ませていた顔を挙げるとマサちゃんの唇が動く。
かいい
かいいって、怪異?
「アイツの身長にピッタリのやつがあるじゃねえの。はい、これでヒントは終わり。」
ちょうど到着した1年教室。莉奈ちゃんやマサちゃん、橘ちゃんに待っていてくれたクロと一緒に挨拶をして教室の外に出た。