第21章 今年も夏休みは終わらないっ! 〜旅行3日目〜
「じゃあね?お姉さんたち。」
何が起きたのかわからない…
いや、理解したくないと脳が一時停止をしてしまった私の腕を引き、リエーフはいきましょー!と自動販売機がある方へと歩き出す。
『リ…リエ「あー!すっきりした!」
自動販売機が並ぶ一角に来た私とリエーフ。
ぴたり、止まるとリエーフは私の方を向いた。
「ずっと美優さんとちゅーしたくて。」
私の顔の前に、腰を折り自らの顔を持って来たリエーフはにやり、笑う。
…ってことはあのお姉さんたちも私も、リエーフにいいように使われたってこと?
かああと上がる体温にリエーフは自らの唇を舐めた。
「真っ赤な美優さん、可愛い。」
再びのリップ音が目尻に響き、ぎゅっと目を瞑る。
頭をぽんぽんと撫でられ恐る恐る目を開くと、リエーフは目の前でにかりと笑い、そのまま自動販売機で飲み物を選びはじめた。
ぴ、がだだん
けたたましい音を立てて出て来たのは、赤いラベルの有名な炭酸飲料。
速攻蓋を回し、ぷしゅっと小気味良い音を奏でたそれを数口飲んだリエーフは私に手を差し出した。
「みーゆさん、いきましょー?」
きっとさっきのお腹すいたは演技。
本当に食べたかったのは私の唇。
嘘をついたことに怒りたいけれど、リエーフのにんまりした顔に何も言えなくなってしまう。
『…リエーフのばか。』
やっとの事で口を開き悪態を吐く私に、リエーフは”でも、好きでしょ?”と囁き返す。
もうリエーフにはかないません。
私は差し出された手を握ると駐車場で待つ車に向かって歩き出した。