第13章 今年も夏休みはおわらないっ! 〜今年も大集合!準備編〜
好きなブランドのお店で服を買って、おやつにクレープを食べていればいい感じに夕方。
スマホのバイブが鳴ったのを確認し、私は莉奈ちゃんと一緒に駅の方へ続く入り口に出る。
「こっちじゃない入り口の方が道路渡らなくて済むから楽なのに…」
そう言いながらキャリーバッグをからから引く莉奈ちゃん。
そんな時、道路の端に止まっている車から声が聞こえた。
「莉奈。」
隣の莉奈ちゃんはびっくり顔。
うん。
サプライズ成功。
莉奈ちゃん、カバンほっぽり出して声の主、クロところに走って行っちゃったもん。
ほっぽり出されたカバンを押しながら、私も2人に近づく。
『クロありがとね?今日1日楽しかった。ってことで莉奈ちゃん返すね?』
「こっちもありがとな。じゃあ俺の方も…」
そう言ってクロが後ろを振り向くとクロの車から出てきたのはリエーフ。
「みゆさーん!」
男子には旅行用に買い出しをお願いしてたんだけど、宮城の蛍、受験生の赤葦、そして本日練習試合のある木兎は無理とのことで2人で行ってもらっていたってわけ。
『リエーフ。ちゃんとクロの手伝いしてきた?』
「ちゃんとしてきましたよ?」
そう言いながら私の荷物を持つリエーフ。
『リエーフ!それ私の…』
そう言って袋に手をかけるとリエーフが笑う。
「このくらい持たせてください。その代わり…」
リエーフが荷物を持ってくれたおかげで空いた左手。
その左手に、リエーフは自分の右手を絡め、にかり、笑う。
「これからデート…しませんか?」
『喜んで。』
そう、伝えればとなりにいたクロがにやり、笑ったので派手な音がするくらい強く背中を叩いてやった。
『自分たちもデートしてくれば?』
「言われなくても。行くぞ?莉奈。」
「はいっ!センパイ…美優さん今日はありがとうございましたっ!」
ぺこり。
頭を下げ、莉奈ちゃんはクロの車へと走って行った。
「美優さん嬉しそう…」
そう言うリエーフはちょっと不満顔。
本当にヤキモチ焼きなんだから。
くすり、笑うと私はリエーフの背中を押してお店の中へと戻る。
「…?みゆさん?」
『デート…するんでしょ?』
「っ!はいっ!」
にこり、笑うリエーフの手に自分の指を絡め、私たちはお店へと入って行った。