第11章 獅子のいない1週間。寂しすぎて…&すれ違い編
猫又監督は玄関でちょいちょい話をして帰って行った。
私との連絡のために電話番号とメッセージアプリのIDが知りたかったらしい。
あの猫又監督がメッセージアプリを使いこなせるの⁈と思っちゃうと思うのですが、実は猫又監督、お孫さんがちょっと離れたところに住んでいるらしく、簡単な連絡手段を…とのことで覚えたらしい。
ちなみにリエーフ。
本来であればまだ合宿中なんだけれど、足を捻っているのに試合に出たがってしょうがない。
けんま曰く「うるさい。じっとしてられないなら帰って。」と言われたらしく強制送還となったらしい。
猫又監督が笑いながら教えてくれた。
とりあえず今は、リエーフを座らせて急いで部屋の片付けを行っているところ。
「美優さーん、俺も手伝うー。」
『捻挫してる人は黙ってて。』
私の後を追ってリビングに入ったリエーフ。
リビングの惨状を見た後片付けを手伝おうとしてくれたけれど、さすがに怪我人に無理させられない。
そうこうしてるうちにもう10時45分。
『リエーフのご飯の準備と学校の準備しなきゃ…』
時間が足りない。
気持ちが焦る。
「美優さんっ‼︎」
ぱんっと目の前でリエーフが手を叩いた。
リエーフの顔を見ればちょっと怖い顔。
「美優さん無理しすぎ!
部屋の片付けは美優さんが学校に行ったら俺がやる!飯も俺が自分で作る。
美優さんは学校の準備!」
わかった。と怒ったような口調で言われ、しぶしぶ頷く。
すると、ふわり、私を包むリエーフの腕。
「目の下クマ。最近ちゃんと寝れてないでしょう。
無理しない程度に家のことやっておくので本当に無理しないで…」
心配そうな声。
わかってるんだけど、ダメだね。
1人だったから、自分でやらなきゃって。
自分しかやる人がいないんだから。
そう思っちゃう。
「俺のこと、もっと頼って…」
リエーフはこんなに私のこと見てくれるのにね。
『ん。リエーフ、ごめんね?』
「ごめんが聞きたいんじゃないです。」
拗ねたような言い回しがちょっと可愛い。
そうだね。
ごめんじゃないね。
『リエーフ?ありがと。』
顔を上げて言うと、リエーフはにこりと笑った。