第10章 獅子のいない1週間。ナイショのデート編
「もしもし、美優さん?」
『リエーフ?消灯時間とっくに過ぎてるでしょ?』
少しため息まじりに言えば、リエーフはえへへと笑う。
「だって声聞きたかったんですもん。」
嬉しいの中に混じる罪悪感に、少しだけ胸が苦しくなる。
『本当は私も、声聞きたかった。』
「…美優さん、何かありました?」
さすがリエーフ。
鋭いな。
いつもそう。
私が辛いとき、苦しいとき、何かに悩んだとき。
そんなとき、いつも気付く。
『…ううん。大丈夫。』
「…わかりました。明日も電話していいですか?」
『明日はもう少し早い時間ね?』
「了解っす。美優さんおやすみなさい。」
『うん。おやすみ、リエーフ。』
そのまま電話を切ろうとすると、私を呼ぶリエーフの声。
なんだろうとスマホをまた耳に当てた。
「美優さん愛してます。もう少し待っててくださいね?」
『…ん。』
ふつり
電話が切れた。
でも寂しくない。
だって、離れててもリエーフが想っていてくれてるから。
マサちゃんなんて関係ない。
私はリエーフが好きなの。
今日はリエーフを思いながら寝よう。
私は自分の部屋から出ると、リエーフの部屋に向かった。
そして、リエーフのベッドに横になると、リエーフの匂いに包まれながら目を閉じた。