Nachtigall im Kafig(進撃:リヴァイ夢)
第1章 Nachtigall im Kafig
あちらこちらに転がるのはヒトの残骸。顔を認識できる者もいるが、大半が腕や足など部分的なものしか残されていなかった。血の水たまりが数多くあり、太陽の光に反射している。酸化しているからだろう。先ほどまでは鮮やかだった赤も、今やどす黒い色をしている。空気を漂う匂いも鉄臭さを増していた。
無造作に落ちた遺体の中でも、見覚えのある首を見つける。それは悲痛に歪んだ男の首だった。かつて訓練兵として共に厳しいトレーニングを乗り越えた同期の首だ。
「あらら、これで調査兵団に入った第103期のメンバーは私だけになっちゃいましたね。いっその事、私もここでくたばっておきましょうか」
「ほざけ、さっきまで野猿みたいに暴れてた女が吐く台詞じゃねぇだろ。さっさと行くぞ。」
「ふふふ、はい」
正直、こんなにも多く、そしてこんなにも早く別れの時がくるとは思わなかった。けれど嘆く暇はない。ここが壁外である以上、またいつ巨人が襲ってくるのかも分からない。寂しさで落ち込む自分の気持ちを誤摩化すように私は冗談を言う。