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Nachtigall im Kafig(進撃:リヴァイ夢)

第1章 Nachtigall im Kafig


 巨人の胸元。そこには突き刺さった木の枝と、その枝からぶら下がるペッタンコに潰された鳥籠が揺れた。籠の中が空であったのなら良かったのだが、生憎と私が目にしたのは鳥籠の格子の間で、同じく潰された見るも無惨な小鳥の姿だった。両の翼はありえない方向にへし折れ、地味な柄ではあったが質の良かった羽毛は、潰された衝撃で体内からはみ出た血や内蔵で汚れていた。

 そこからは何も覚えていない。気づけば私は避難船に乗せられており、我に返って同船していた者達に訪ねれば、どうやら私は駐屯兵団の誰かに助けられたようだった。それだけ聞けば今もなお巨人に襲われ続ける故郷を、私は船の上から見下ろした。目に入った夕焼けが残酷なほど美しかったのを、よく覚えている。

 時は過ぎ、私は流れで第103期の訓練兵として生きるようになった。意外なほど兵士としての素質があり、今では立体機動装置が私の翼となる。訓練時はわざとワイヤーを最小限以下しか使わず空を舞い、浮遊感を堪能した。何の支えもなしに空から見下ろす光景は毎回、己が鳥にでもなったかのような錯覚を生み出す。
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