第1章 Blue Moon~with Jill Birthday~
「今度は私が食べさせて差し上げますね。さぁ口をあけてください」
ジルは同じように食べやすい大きさに切り、口元にあてがう
「で、でも、ジルの誕生日なんだし//自分で食べるよ//」
恥ずかしそうに頬を染めるリル
(これくらいの事で赤くなるとは本当に初ですね)
「ダメですよ。私からのお礼ですから、どうぞ召し上がってください」
観念し、口を開けると優しくタルトタタンが口内に運ばれた。口の中にはリンゴの甘酸っぱい酸味とキャラメルのほろ苦さが溶け合い幸せな気持ちになる
「美味しいー!上手に出来て良かった!」
「忘れていました、すぐお茶を用意しますね」
「ダメだよ!私が用意してなかったのが悪いんだもん、用意させて!」
お茶の準備を忘れていたことに気付かず慌てる
「ここは私の部屋ですし、このくらいはさせてください」
おでこにチュっと触れる口づけを落としジルはティーセットを棚から出した
「ポットに入れてありますのでですぐ淹れますね」
優雅な手つきでティーカップに注がれたそれはリルの好きなフラワーシードルだった
「これ、フラワーシードル?」
「ええ、貴女の好きなフラワーシードルですよ。アルコールは入っていませんのでゆっくり飲んでくださいね」
甘くて優しい香りが湯気とともに立ち込める
「ありがとうジル、嬉しい」
香りを楽しみながらティーカップに口をつけた
「美味しいー!ジルの淹れてくれるフラワーシードル、すごく好きだよ。優しくて安心する味」
「それは良かったです。用意していた甲斐がありました」
仲良くフラワーシードルを楽しみ、タルトタタンを食す。二人でゆっくりと時間を過ごす幸せを噛み締めていた
「ご馳走様でした。幸せな誕生日を過ごすことが出来ました」
「良かった…。ジルは皆に慕われていつも忙しく動き回ってるから、今日くらいはゆっくりして欲しくて…」
(本当に可愛い事ばかり言う人ですね)
再び腰を抱き寄せ膝の上に座らせるとリルは驚きジルを見つめる
「夜はまだまだこれからですよリル?」
顎ををすくい上げゆっくりと顔を近づけキスを落とした
「んんっっ」
わざとリップ音を立て、角度を変えては唇を啄む優しく唇を挟みするりと口内へ舌を滑り込ませる
「はぁっーージ、ジルーーんんっ」