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100日間のプリンセス~月が導くセレナーデ~

第1章 Blue Moon~with Jill Birthday~


「ノア様はもっと張り切って公務に務めてくださいね」

「ユーリは手厳しい執事だねー」

二人の何気ないやり取りに微笑んでしまう

(あっ、もうこんな時間)

時計を見ると8時を指している。席を立ち、二人に挨拶をし食堂をあとにした




自室からバスケットを取り、クローゼットを開ける。ジルの為にもう一つプレゼントを用意していたのだ。バスケットとプレゼントを抱え部屋へ向かった

ーーコンコンーー

「どうぞ」

扉を開けるとジルは窓辺で星を眺めていた

「ジル、お待たせ」

「さあ、こちらへどうぞ」

ソファーへ案内され持ってきたバスケットを膝に抱え座るとジルが横に腰かける

「ジル…お誕生日おめでとう!これ、良かったら一緒に食べようと思って。あとこれはプレゼントだよ」

「私の為にわざわざありがとうございます。嬉しいですね。開けても宜しいですか?」

「うん!気に入ってもらえるといいんだけど…」

丁寧にラッピングされた箱の中からは革の手袋が入っている。
いつも愛用しているものは使い込まれ、指先が少し擦れていた。城下の視察の際、革製品の店が目に留まり、中に入るとこの手袋が置いてあった。手首の周りは紫色の糸でステッチがかけられ、シンプルで、主張し過ぎないアクセントを一目で気に入った

「手首のステッチがさりげなく紫色とは、凝った品でとても上品で私の好みです」

「良かった!!一目惚れして、ジルの顔がすぐ浮かんだの」

心底嬉しそうな顔のリル。甘いもの好きのジルにと作ったタルトタタンを取り出し、ジルと二人で食べる事にする

「上手に出来るといいんだけど…」

「とてもいい香りがしますね。食べさせてくれますか?」

腰を抱き寄せ顔を近づけられる

「えっ//」

「私の誕生日を祝って下さると仰ってましたのでお願いします」

ジルは微笑み囁くように告げる

「う、うん」

一口サイズにカットし、おずおずと口元にあてがった

「甘酸っぱくてとても美味しいですよ。キャラメルがいいアクセントになってますね」

幸せそうにタルトタタンを頬張るジル

「良かった//このリンゴ、城下のお店でお裾分けしてもらったの」

「そうでしたか。今年はリンゴが豊作と聞いてました。いいリンゴが手に入りましたね」

「うん!収穫際も楽しみだよ」

ふにゃっと笑うリルが愛おしい
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