第13章 第3話 不寝番
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の不寝番。
2日まともに寝ていないがどうにか日中のうたた寝で紛らかせていた。
だが、いくら本人希望と言えどおちおち寝てはいられない。
要するに心配だ。
「・・様子を見に行ってみるか」
少しだけ仮眠を取った俺は、時計の針がてっぺんに登った頃見張り台へと足を進めた。
寝ているのか?と思ったが、微かに聞こえる音。
何かを捲る音。
そして、啜る音。
気配を消し、近付いた俺が目にしたのは月明かりの中で光る雫。
そう、は泣いていた。
大切そうに手にした物を見ながら・・
動揺したせいか、ハッとこっちを向いたは俺の存在に慌てて顔を背ける。
何と声をかけるべきか。
「・・悪ぃ」
それしか言えなかった。
たった11歳で俺の前に現れた女の子。
いつも笑顔で暗い顔など見せた事がない女の子。
強い子だと思っていた。
そんなわけじゃねぇのに、強がってただけなんだよな。
『・・気配消すなんてズルいよクザン』
再び俺を見たの瞳にはもう、涙はなかった。
ズキッと胸に痛みが走る。
泣いていた事を指摘さえさせてもらえねぇのか。
「驚かそうと思ってな」
本当はそんな事を言いたいわけじゃねぇ。
『驚いたし、それ差し入れ?』
手に持っていたバスケット。
俺はそれをに差し出した。
ホットココアとクッキー。
夜食だ。
あったかいと微笑むの膝に置かれた本に目が止まる。
それを見ていたのか?
『あっ、これ?・・見る?』
一瞬考える素振りを見せただったが、その本を差し出された俺は迷わず手に取った。
涙の理由が聞けないなら、気付いてあげたいとそう思ったんだ。
本かと思ったそれは、紙ではなく透明はフィルムポケット。
アルバムの様な形式だが、そこには写真は1枚も挟まれていない。
代わりに入ってるのは、紙切れ。
それも所々、入っていない箇所もある。
適当に入れてるのか?
パラパラ捲っていた俺はある事に気付いた。
フィルムポケットの隅に小さく書かれたイニシャル。
これは・・
ビブルカードの破片か?!