• テキストサイズ

【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第2章 海軍本部






ーー
ーーーー
ーーーーーー

海軍本部にある客室。
その一室を訪れた私。

鍵は掛けられていなかった。
私が来る事がわかっていたのだろう。

ここを使うのはただ1人。


「待ってたよ、ちゃん」

ベガパンク。
彼はベッドの淵に座り、ワイングラスを傾けていた。

『・・アルコールは脳の破壊に繋がるんじゃなかったの?』

「今夜は特別さ。
欲しい物がやっと手に入ったんだから」

無造作にグラスを床に落とす。
厚みのあるカーペットが衝撃を柔らげ、赤いワインのシミを作っていった。

『私の何が欲しいの?』

「クス、全部。
その身体も心もちゃんが想う物、全て」

ゆっくり近付いてきたベガパンクは、
手始めに身体から貰おうか
と、私の顎をクイッと持ち上げる。

『・・約束してくれる?
あの日貴方が見た事聞いた事全て誰にも何も言わないって』

「・・・あぁ、約束する。
あの日声も無く泣いたちゃんは俺だけの物だ」

軽く唇を合わせてくるベガパンク。
私は、抵抗せずそれを受け入れた。

「・・抵抗しないの?」

何が気に入らないのかがわからない。
あれ程欲していた私の身体をベガパンクに預けているっていうのに・・

「そんなにあの男がいいの?
名は何だったか、確か・・さ
『言わないでッッ!!』

力一杯、ベガパンクを押し退ける。

『言わないで!彼の名を言わないでッッ!!』

これ以上、守れなかったあの人を思い出すのは苦しい。

「・・そいつはの何なんだ?」

あの人は・・
あの人は私に暖かさを教えてくれた。
女の子としての嗜みや料理、そして怒っても突き放されない安心を。


『・・・彼は私の兄よ』

そう、兄様〔アニサマ〕

本当の兄妹の様に接し、喧嘩しても突き放さない無償の愛を私にくれた。
大切な大切な兄様。

彼が消えたのを感じた。
一筋の光が闇夜に消えた。

理屈じゃない。
あの時、私はその光景を
遠くのその光景を手に取るように感じていたのだ。



/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp