第12章 第2話 旅連れ
『ク、クザン・・・寒い・・』
肌を刺す様な冷たい風。
防寒具の上から海軍マントに袖を通し前まで閉めたのに寒さは一向に無くならない。
「寒いなら部屋にいろよ、俺が見てるからさ」
寒さに当たり前の様に強いクザンが羨ましい。
その悪魔の実の力、欲しい。
『いい、ここにいたい』
多分、もうすぐ着く。
そんな気がする。
私の予感は当たる。
さっきまで何も無かった水平線。
その向こうに1隻の船。
直感した、あれにニコ・ロビンが乗っていると。
風に押されてどんどんその距離が近付く。
『おーいっ!ニコ・ロビンさんいらっしゃいますか?』
裸眼で相手の人相がわかりそうなぐらいに近付いた時、私は船の先端で大きな声を掛け手を振った。
「バカ!止めろッ!!」
焦った様に止めるクザン。
何故?と思ったのは一瞬で、その理由が直ぐにわかった。
海面スレスレ、船スレスレに撃たれる砲弾。
『えっ!何で撃つの!?』
「相手は革命軍だ!
海軍マント着たまま手を振るバカはちゃんだけだよ」
呆れて物も言えないと呟くクザン。
私は謝るしかない。
「当たると危ねぇから中入ってろ」
『大丈夫、だいじょーーーっ!ぎゃぁっ!!』
言ったそばから海に投げ出された。
近くに落ちた砲弾の威力で船が傾き、私は重力に逆らえなかった。
ま、待って!
このまま海に落ちたら凍え死ぬッッ!!
ードボーン!!!!ー
飛沫を上げ、見事頭から海へと転落した。
張り詰めた冷たい水か肌を刺す。
どうにか海面を目指そうとするが、着膨れたこの格好では簡単にはいかない。
あぁ、ヤバッ・・息がッ・・・
そう思った瞬間、手が伸びて来た。
幾多もの手、手、手、
お、おばけッッ??!
その手に引っ張り上げられ、ポーンと海面から飛び出た私をクザンが抱き留めた。
「ちゃん?!大丈夫かっ?」
『・・ゲホッ、ゲホッ。
クザン・・寒いっ・・・・』
助けてもらった事にお礼は言いたいが正直それどころじゃない。
海水から上がってもこの刺すような寒さには、耐えられない。
「ニコ・ロビン助かった。
先にこいつをどうにかするから待ってろ。
勿論、捕まえる気は無いから武装は解いて欲しい」
「・・ええ、その子の手当てを急いであげて」