第9章 頂上戦争 中盤戦
エースがやられた
誰かが叫んだその言葉。
『・・エースはもう助からないわ。
だから、だからダイギンその手を離しなさいッッ!!』
固く強く、私の腕を掴む手。
ダイギンは歯を食いしばっていた。
「ーーッッーー覇気を収めてください少将ッッ!!」
『離しなさい、ダイギン准将』
「ーーーゥゥ、離したら貴女は死ぬ気でしょ」
『離しなさいッ!離してぇ!!ダイギンッッ!!』
その時聞こえた声。
死ぬ間際の人間が最後の力を振り絞って出した言葉。
私にも、そして父様にも聞こえた。
そして、辺りに響き渡るルフィの叫び。
それに気を取られたダイギンの手から逃れた私は、エースとルフィの元へ走った。
空を見上げるルフィ。
だが、その瞳には何も写してない。
ガタガタ細かく震えるルフィを私は、抱きしめ力を使う。
『ルフィ、少し寝なさい。
後は私に任せて、私はエースの だから』
「ッ!お前はそれでも海軍将校かッ!!」
ルフィ共々私に襲いかかる赤犬。
それをマルコ兄様が立ち塞がった。
ルフィの命を守れ
エースの意思
だと、マルコはジンベエにルフィを預ける。
「ッ!お前も逃げろいッ!!」
赤犬の背後から白ひげが現れる。
怒りに満ちた父様の目にはもう、涙はない。
「マルコ!を連れて戻れッッ!!」
父様の拳が大気を割り、海軍本部を崩壊させる。
そして、大地が真っ二つに裂けてしまった。
父様は向こう岸、海軍と。
そして、私は海賊達と隔離されてしまう。
「お前ら船を出せッ!オヤジの意志だッッ!!」
「ここから出るぞっ!」
バタバタ動く海賊達。
私は、谷ギリギリの位置に座り込んだ。
『父様・・
お願いマルコ・・・私を父様のお側に・・・』
「・・・来るんだよい、」
ギュッと自分の身体を抱きしめる。
海軍マントが重くのしかかる。
『・・・・まだだ・・まだ、終わってない!
ティーチッッッ!!!!』
「!!?」
見上げた崩れ掛けた海軍本部の後ろに誰かがいた。
そして、処刑台の下に現れたのはティーチ。
この最悪な戦場の発端、そして私の兄様を殺した男。
アイツだけは許せない。