第9章 頂上戦争 中盤戦
痛みが増す。
スクアード、やはり騙されていたのね・・
父様を1番慕っている男を騙すなんて・・・
微かに戸惑いと殺気がスクアードから感じ取れた。
普段なら気にも留めない。
父様なら避けれるはずだとわかっていたけど何故か今、父様にそんな余裕は無いと感じたんだ。
刺されて実感した。
父様の病は重いと。
私が目の前に現れても父様なら対処出来た事なのにそれが出来ない程、病が父様を蝕んでいる。
「傷口を見せろい?!」
『大丈夫よ、傷口だけはもう塞がってるから』
傷口は塞がったが中はまだ、修復が追いついていない。
これも私の血の力。
「コレ・・オヤジも気付いたよい?」
『・・うん、以前は無かった力みたい。
スクアードは?』
「前線に戻ったよい。
・・・と話したそうにしてたが止めたんよ・・騙されたとわかっていても・・・刺したアイツを俺は許せねぇい」
『マルコ兄様・・
私は大丈夫だから父様のおそばにいて・・・』
父様は既に船から降り戦っている。
なりふり構わない戦い振りに嫌な予感がした。
「でも・・・」
『行って、私なら大丈夫。
ここにいて船は守るから・・エースを助けてみんなで行くんでしょ?』
そう言えば、後ろ髪を引かれながらもマルコは戦場へ向かった。
『・・・イタタッ・・さて、どうしょうか・・・』
思わず飛び出してみたが、処刑台に戻るわけにはいかないだろう。
これが私の本当の気持ちなんだろうか・・
『・・向こうにしたら私はもう敵か・・・』
マグマの塊がいくつも落ちてくる。
『守る・・って約束したのにな・・・ッッ』
動くにはまだ、身体が元に戻っていない。
鈍く鋭い痛みに身体が動かない。
「お連れしますよ、少将」
『!?・・ダイギンっ!!何故ッッ!?』
私を横抱きに抱え上げ、船から飛び降りるダイギン。
間一髪、マグマで燃え上がる船から脱出した。
「言ったはずです。
何より貴女は、まだマントを脱いではいない」
『それは、忘れ・・迷っているの私が進むべき道がどこかわからない』
私を抱く腕に力を入れ、ダイギンは戦場へと走った。
『・・ダイギン、私を高い所へ。
この目でちゃんと見なきゃいけない』
「了解」
今度こそちゃんと決めなきゃ。
私は、前に進めない。