第21章 Z
私は、崖の上から見下ろす。
背後から足音、振り返らずともそれが誰かわかっていた。
「やっぱり来たか。
・・ちゃんストールは?」
『落とした』
「・・海兵が押し寄せてくるってのに素顔晒してどーすんの?」
呆れ気味のクザンが横に立つ。
ここからは戦う2人、そしてゾロ達の姿が見えた。
交差する拳。
繰り出される技。
燃える大地で戦いが繰り広げられていた。
ルフィの拳によって、ゼファーの右腕に付けられた海楼石でできた武器がボロボロと壊れてしまった。
そこから見えたのは黒い腕。
黒腕のゼファーと言われる所以の腕だ。
「最後だ!」
「うおぉぉぉっ!!」
ぶつけ合う拳。
一方的にルフィが殴られる。
手を出したい気持ちを抑え込む。
みんなもそうだろう、視線を外さずルフィ達の戦いを見つめていた。
闘志の炎が瞳から消えないルフィ。
腹に一発入れた。
崩れる様に座り込んだルフィ。
それを見てゼファーは笑い、後ろへと大の字に倒れた。
『・・!?』
ゼファーが降参の意思を伝えた。
拳での答えが出たのだ。
止められた。
あの人を止める事が出来た。
無事、終わったと思った瞬間 声が響いた。
『黄猿のおじさま・・』
対面する崖の上に黄猿と海兵達の姿。
「あれれ?
それってちゃんへ、プレゼントしたストールじゃねぇか?」
いつの間にか落としていたストールをゾロが持っていた。
「何でテメェがのだってわかるんだ?!」
「何故ってねぇ。
まぁ、ここにちゃん来てるなら是非とも連れて帰りましょうかねぇ」
「テメェっっ!!」
まだ、私がここから見ているとは気付いていないみたいだ。
「ちゃん、見つかる前に船に戻れ」
戦場を見つめながら言うクザンに私は頷き、踵を返そうとした。
「おい、伝えてもらいてぇ事がある」
誰と言うわけでもなくゼファーが1歩1歩歩きながら話し出した。
「俺には生き残った血筋はいねぇ。
だから、知らねぇんだよ。
・・だが、アンは知ってるぞ。
アンとはビブルカードを渡した仲だッ」
えっ?
アンって・・
「俺は、碧い瞳の女はアンしか知らねぇぜッ!!」
そう言うと、ゼファーは遠くからやって来る海兵を待ち構え
落とし前は俺が付ける、任せろとルフィに伝えた。