第21章 Z
『ごめんね、手荒な真似しちゃって』
路地裏にいた海兵1人に道を訪ねるフリをして近付き、壊れかけた小屋に押し込んだ。
「何者だ!」
身体を簀巻き状態にされても、怯まない海兵。
弱いが根性は座っている。
私は持っていた剣を海兵の首に近付けた。
『質問に答えてくれたら解放する。
だけど、喋らなかったり嘘を付いたら問答無用で切る』
ゴクンっと生唾を飲む海兵。
本気だと伝わったらしい。
『貴方達は探している人物、ゼットがいるわね。
そのゼットは何をしたの?』
「・・海軍基地からある物を盗んだんだ」
『ある物って?』
「ダイナ岩・・・巨大なエネルギーを持つ鉱石だ」
海軍はその鉱石を厳重に保管管理していたらしい。
だが、それが盗まれた。
海軍基地を襲われ盗まれたとなれば、海兵が血眼になって追ってもおかしくない。
だが・・
『それだけじゃないでしょ?』
「・・エンドポイントを知ってるか?」
知らないと言えば海兵は丁寧に説明してくれた。
「ある3つの火山島にあるマグマ溜まりをエンドポイントと言うんだ。
そこを破壊すると新世界の海を焼き尽くすほどの大破局噴火が起こる」
海を焼き尽くすですって!?
「海軍上層部だけが知っていた事実だ」
『では、何故ゼットがそれを知ってるの?』
どこかで情報が漏れたに違いない。
スパイがいるの?
元とはいえ、海軍にいた身 他人事ではない。
「ゼットは元海軍本部大将だ。
だからこの事実を知っていたし、これを利用して海賊達を一掃する気だ」
元海軍本部大将?!
でも、そんな名前は聞いた事がない。
『ゼットは本名なの?!』
「・・黒腕のゼファー。
今の海兵達は殆どの彼に習っていた・・・」
ゼファー?!
直接は関わった事はなかったが・・
私は震える手に力を入れ、悟られない様に続けた。
『エンドポイントはどこにあるの?』
「1つ目は既に壊滅、2つ目がこの島だ」
『・・3つ目はどこ?』
「ピリオ島・・」
『・・そう、よくわかったわ。
ありがとう』