第21章 Z
会いに行ってみようかな と、思ったのはたまたまだった。
ひとり旅にも飽き、追われる事にも慣れた。
約束通りならもう、新たな旅を始めている頃だろう。
意識を海に向け、私は桜を見つけた。
相変わらずな姿に私は笑みが溢れる。
会いたい。
会って、話がしたい。
私は、風を彼等のいる方角へ向けた。
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ーセカン島ー
温泉と観光が盛んな島。
だが、何故か海兵の人数が多い。
将校を何度も見かける。
『何で?
もう少ししたら着くと思ってたのに』
カフェの片隅、外からは見えにくい席で私はメニュー表で顔を隠しながら辺りに目を光らせていた。
この状態では、上陸しないかもしれない。
賑やかな所が好きな船長さんだったら、絶対にここに寄ると踏んで待ち構えていた。
だが、この海軍の多さは尋常では無い。
『ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど・・
この島って普段からこんなに海兵いるの?』
注文を取りに来た店員に尋ねると、人目を気にするように話してくれた。
『・・・ゼット?』
聞いた事が無い名前。
まぁ、殆どの海賊の名を知らないからしょうがない。
だけど、これほどの海兵が追う相手なら只者ではないはず。
「お客様?大丈夫ですか?」
心配げに見る店員に礼を言い、私は店を出た。
頭からスッポリとストールを被り、剣を隠す為に着ていたマントのフードをその上に被る。
初めて懸賞金を掛けられてから2年。
一向に捕まらない私に海軍は金額を上げた。
今では、2億ベリー。
勿論、Onlyalive。
トボトボと目的も無く歩く私は、さっき聞いた事を考えていた。
海軍がある人物を探している。
確かめなきゃ・・
私は、手頃な海兵を取っ捕まえて聞き出す事にした。
この島に私がいるとわかったら大変な事になるとわかっていても確かめなきゃいけない気がしたんだ。