第20章 プロローグ3
ー新世界 Dr.ベガパンク新研究所ー
「あ''ぁぁぁぁっっっ!!!」
広いラボにこだまする絶叫。
「どうしました!Dr.ベガパンク!!」
机に肘を付き、下げた頭を抱えていた。
そばには通話を終えた電伝虫が眠っている。
「・・・わ、忘れた・・」
「忘れた?何をですか?取りに行きますよ」
警備の海兵がそう言うとDr.ベガパンクは勢い良く振り返った。
「取りに行ってくれるのか?!
あの、パンクハザードにッッ!!!」
「む、無理ですッッ!!
すみません!!」
勢い良く頭を下げる海兵にDr.ベガパンクは、また肩を下ろした。
行きたくても行けない場所。
元々、研究所があった場所だがどこかのバカがやらかした爆発で立ち入り禁止地域になった。
そして、現在ではどこかのバカ共が闘ったおかげで 灼熱と極寒の土地へと変貌している。
たださえ、自由な行動が制限されている今、そこへ行くのは不可能だった。
「研究は進んでいるか、Dr.ベガパンク」
「・・これはこれは、元帥自らここへ訪れるとは何事だ?」
「いや、なに、また勝手な行動を取られては海軍の名に響くからな」
よくタイミング良く現れたな・・・
辺りを見渡し、元帥 サカズキは話を続けた。
「今、何を叫んでいた?」
「いえ、元帥が気に止める事ではありません・・」
サカズキに直接言えば海兵を差し向けてくれるだろう。
だが、何を忘れたか言えば手元にソレが戻って来る可能性は限りなくゼロに近い。
言うわけにはいかなかった。
今まで集めたあの彼女のデータ類だとは・・・
取られるぐらいなら忘れた方が彼女のためだ・・・