第19章 第9話 愛しています
マルコの手が止まった。
呆然とする姿に不安が募る。
『ま、マルコ・・?』
「・・無理矢理だったのか?」
えっ?
「無理矢理抱かれたのか?」
『・・・違う』
「正直に言え」
『違うよ、気持ちはなかったのは確かだけど無理矢理ではないの。
あの時・・必要だったの・・・ベガパンクを私は利用した』
そう、あの孤独感を誰かに埋めて欲しかった。
「り、利用?」
私はあの日の事を話した。
泣いた理由、抱かれた理由。
『ベガパンクは私の事を大切にしてくれた、好きだと言ってくれた。
私は、ベガパンクの気持ちを利用したの・・』
そして、今でも利用している。
船も物資もお金さえ、Dr.ベガパンクは進んで用意してくれた。
『・・軽蔑した?私の事・・・』
「・・いや・・・こそ無理矢理した俺に軽蔑しただろ?」
『ううん、してない。
マルコは優しかったよ、何よりマルコの気持ちが嬉しかったよ』
無理矢理なんかじゃない。
マルコの手は、優しく私に触れていた。
気持ちを打つける勢いだったけど、それが嬉しかったんだ。
『ねぇ、マルコ、しよう。
最後までマルコに抱かれたい』
この言葉がキッカケだった。
離れていた手が、再び触れる。
熱い吐息。
乱れる身体。
2つが1つに重なった時、私は涙を流した。
辛い涙ではない、好きな人と繋がれた喜びの涙。
「・・・っっ、っ・・・」
『・ぁっ、んんっ・・・ぁぁっ・・』
同時に果て、私はマルコに包まれたまま眠りについた。
マルコ。
私が愛したマルコ。
気持ちが繋がった時、私はこの世に産まれた喜びを知った。
私は、貴方を愛してる。
きっと変わらない想い。
許して下さい。
許して。
私を愛してくれてありがとう。
私は貴方を愛しています。
朝
雨音で起きたマルコは、隣にあるはずのぬくもりを探していた。
「ーーー?」
手探りで求めたぬくもりがない事に気付いたマルコは飛び起きた。
そう、もうそこに姿がなかった。
部屋にも村にも島にも・・
は何も言わず、消えていた。