第19章 第9話 愛しています
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夜も更け始めた。
マルコはまだ、来ない。
痺れを切らした私は、部屋を出て酒場へ向かう。
夜道を歩いていると、微かに聞こえる声。
マルコだ!と、気付き私は歩調を早めた。
曲がり角、視界に入ったのはやはりマルコの姿。
そして・・・
『・・ユキさん?』
「好きなの・・6年前からずっと・・・・
貴方だけを愛してる」
私の呟きは、悲痛な声に掻き消された。
マルコの胸に縋る姿。
ズキッと胸が痛い。
私は、思わず角に隠れたが座り込んだ私は、動く事が出来なかった。
聞かない方がいい。
知らない方がいい。
そう、思っても足が動かない。
「ユキ・・」
「お願い、マルコそばにいて。
もう離れ離れなんて無理なの・・」
「・・無理だい」
「白ひげの親分さんの仇を討つため?
・・そんな危険な事もう止めてッ」
「無理なんだよい・・」
「私は貴方を失うなんて耐えられない。
もう逢えないと思ってた、でも貴方は帰って来てくれたわ。
お願いだから、もう海には出ないで・・」
ズキッ、ズキッ・・
胸が悲鳴を上げる。
離れなきゃ、早くここを離れなきゃ。
やっと、立ち上がり歩き出そうとした瞬間、耳に届く言葉。
「あの子は、は貴方が必要なの」
『!!?』
って・・
ちゃん?
あの小さな女の子が思い浮かんだ。
そして、様々な情報が1本に繋がる事に気付いてしまった。
ユキは、6年前だと言った。
6年前、マルコはこの島にいた。
私が白ひげ海賊団から出て行った後だろう。
6年前からマルコを好きなユキ。
そして、思い浮かんだちゃん。
ちゃんは、5歳ぐらい。
その子にマルコが必要だと言う。
そして、ちゃんが教えてくれた父親の特徴。
偉くて強い人を守ってる。
強くて鳥みたいに自由で死なない人。
もし、もしも私の考えに間違いなかったら・・
偉くて強い人は父様。
鳥、死なないを意味するのは不死鳥。
『・・嘘・・だよね・・・・』