第16章 第6話 パンドラの箱
あれから、急に修行に付き合うと言い出した。
俺は、草原が広がる場所へ連れ出した。
『手加減は無用だからね』
鷹の目達が出て行った後、何事もなく俺に話しかけてきた。
現に今も、準備体操するはいたって普通。
「準備はいいか?」
刀を1本手に取る。
『うん、行くよ』
ピシッと空気が変わった。
切り裂くようなこの空気、鷹の目其の者と対面しているかの様に感じる。
刹那。
刀の斬撃音が高い音を出し、辺りを包む。
「・・ちっ」
『・・っっ』
跳ねてはぶつかり、ぶつかっては離れる。
絶え間ない斬撃。
『えー!もう、必殺!ミホークの技ッ!!』
「はぁ?」
突然何を叫ぶかと思ったら、あの大技を出して来た。
鷹の目が以前、戦艦を真っ二つにしたあの大技だ。
「ーーくっ」
間一髪避けた。
荒削りにしてはなかなかの威力。
『何で避けるの!』
「てめぇ、未熟な技出してんじゃねぇッッ!!」
波動が鈍く、そして方向が定まっていない技。
『未熟だから修行なんでしょう!?』
最もだ。
だが・・・
「・・止めだ、止め」
『えっ?!』
「鷹の目の言葉を借りれば、てめぇは雑念が多すぎ。
一体何を考えてんだ?」
『・・・』
聞かなくてもわかってた。
わざと口にした。
あんな事言われた後じゃ、誰でも動揺するに決まってるからな。
『あーぁ、情けない』
そう言って、ゴロンと仰向けに寝転ぶ。
『・・エースにあんな事言ったのに私が気にしてどうすんのって話しだよね』
エース。
白ひげの隊長でルフィの兄貴。
「エースに何を言ったんだ?」
『・・・母親が誰であろうと父親が誰であろうとアナタはアナタよ。
父様の息子、火拳のエースよ・・って言ったの。
笑っちゃうでしょう?
エースにはそう言ってるのに私は落ち込んでる』
誰を父親だと思っていたかは知らねぇが、そんな落ち込む必要があるか?
「父親だと思わなきゃいい」
『そんなの無理よ・・』
「何でだ?お前を育てたのは誰だ?
今のお前を見続けてくれたのは一体誰だ?」
『・・ミホークと父様、兄様』
「血の繋がりがどうした、たった半分しか繋がってねぇヤツより今までお前を見てきたやつの方がお前と繋がってるだろ?」
俺はそう思う。
だから、それをに伝えた。