第15章 第5話 古城
「鷹の目の弟子だ」
青雉の言葉に耳を疑った。
あの鷹の目に弟子がいたのか?
「・・だが、あれ程の腕だとは俺も知らなかったな」
闘う姿を見ながら青雉は独り言の様に話し出した。
「海軍では隠していたのかも知れねぇなー。
俺も黄猿も赤犬も遊びがてらちゃんの相手をしていたがあんな動きを見せた事はねぇ。
まぁ、白ひげの娘分で隊長達の妹分となりゃ、なかなかの腕の持ち主だと知っても驚かない自信があったけど・・
これ程までとはねぇ」
ただの女だと思っていた。
細い腕、華奢な身体、小さな背丈。
どれもこれもまるで武人とは程遠い身体の造り。
なのに、その女の動きや技を出す姿は無駄な動き1つ無い。
華麗で見惚れてしまう。
守らなきゃ生きてけねぇ女だと思ってた。
だが、今は闘ってみてぇ女になっていた。
『キャッ・・降参、ミホーク相変わらず強過ぎ』
片手を地面に付き、首元に刀先を突き付けられた女。
降参した事により闘いに終止符が打たれる。
「鈍ってるな。
海軍で何をしていた」
『何って・・書類書きとか書類書きとか・・・』
「青雉、俺は雑用させるためにを海軍に預けたわけではないが」
「おいおい、俺に言わないでくれよ。
しゃーないだろ?上に上がれば多くなるんだよ、書類書きがさー」
俺は3人が会話する内容をただ聞いていた。
初めて見た、気を許したような鷹の目の表情。
いついかなる時も武人である事を己に課している鷹の目。
「ここにいる間、鈍った腕をあいつで元に戻せ」
そう言って俺に視線を向ける鷹の目。
3人の視線が一斉に浴びせられた。
「・・俺?」
「今のにはちょうど良い」
『えーっ!ヤダ!冒険の途中だもん!!
ここにはミホークに聞きたい事があって来ただけだよ』
「何を知りたい」
『私のお父さんって誰?』
「「・・・」」
躊躇も無く切り出された言葉。
鷹の目と青雉が動揺しているのがわかる。
だが、俺には何故そこまで動揺するのか理由がわからなかった。