• テキストサイズ

【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第15章 第5話 古城




「見ておけ、為になる」

ミホークの言葉と同時に音もなく動き出した2人。

土煙り、氷の匂い、刀の斬撃。
混ざり合う音だけが辺りを包む。

凄い、その一言に尽きる。
それ以外、表現出来る言葉が出なかった。

『本当に止めなくてもいいの?』

「命を奪うとは思えん」

止めないって事ね。
闘いを見る気が無いのかミホークは私を観察するような視線を向けて来る。

「これを返しておく」

『あっ!私の剣ッ!!』

呆然と眺めていた私に、ミホークが差し出した。
私、愛用の剣。
あの戦いの最中、何処かで見失ってしまっていた。

「騎士が剣を失くすとは、目も当てられぬ」

『・・ごめんなさい』

ぐうの音も出ない。
ミホークが言う事は当然で正論。

それにこれはミホークから貰った大切な剣だった。

『良かった・・
失くしたと思って何気にショックだったけど探しに戻るわけにはいかなかったの』

受け取った剣を腰に差す。
違和感があった腰回りがこれで落ち着ける。

「・・海軍で腕が落ちたわけではあるまいな」

『ちゃんと鍛錬はしてたよ』

「鍛錬と戦闘は違う。
命のやり取りがその者の力を強くする」

『わかってるよ。
それ耳ダコだし・・腕は鈍ってないとは思う』

旅に出てから剣は扱ってない。
それどころか、少将になってからは戦闘に出る機会が減った。
出ても部下がやってくれるので、実際闘う機会はごく稀だ。

『久しぶりに手合わせしてくれる?』

「手加減はしない」

わかってる。
ミホークは、いつも私に本気で応えてくれていた。

頷く私を確認したミホークは、助走なしで崖から飛び降りた。
それに続いて私もミホークの後を追う。

ここでは思う存分動けない。
足場は悪いが墓場の方が断然広かった。

『久しぶりに本気見せてみようかな・・』

ミホークなら受け止め、返してくれる。
それが私にはとても嬉しかった。







/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp