• テキストサイズ

【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第15章 第5話 古城





もう大丈夫かなと、思った瞬間また感じた気配。
ビクッと反射的に固まる身体に男は不審げに顔を覗き込んでくる。

「どう・・・来るッ!」

男も気付いたのだろう。
私から身体を離すと身を翻し、叫んだ。

「そこにいろッ!」

『ま、待ってッ!!』

「大丈夫だ!来る方が危ねぇッ!!」

私が怖がったと思ったのだろう。
だけど、違う。

私の言葉も聞かず、男は軽々と柵を乗り越え走り去った。

『違うのに・・・』

感じた気配。
冷たい冷たい氷の匂い。

『・・ヤバいよね』

感じる気配に殺気が篭ってる。
動き回る気配は、私を探してるのだろう。

私は慌てて男が走り去った後を追いかけた。
男は強いだろうが、手傷を負っていたし何より相手はクザン。

クザンの殺気に満ちた気配が背筋を凍らせる。

ううぅぅぅ・・
見えない、いない、気のせい。

自分に言い聞かせながら森を走る事数分。
崖に辿り着いた。

『この辺だと思うんだけど・・』

木々が凍っている。
クザンが通った跡だ。

「こちらだ、」

いつの間に来たのか、崖ギリギリの場所で立つミホーク。
下に視線を向けたまま、私を呼んだ。

『げっ!墓・・・』

崖の下には、墓場。
西洋らしく十字架がいくつも壊れた閑散とした場所。

今にも死人が起き上がり、出て来そう。

そこに2人姿がある。
殺伐とした雰囲気で両者、睨み合ったまま動かない。

「見ものだな」

『そんな呑気でいいの?
クザンが相手だよ?』

「青雉に負ける様ではこの先、ヤツに望みはない」

相変わらず厳しい一言。

『・・ミホーク、私以外で初めてじゃない?
弟子を取るのも他人をそばにおいて暮らすのも・・・』

「彼奴らは勝手に来て、勝手に住んでるだけだ」

その勝手を許すのが初めてじゃないかと言いたくなった。
だけど、ミホークがそうする理由 何かあるのかもしれない。

これまで1匹狼で渡り歩いていたミホークが住居を決め、人をそばにおいている何かが・・




/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp