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【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第15章 第5話 古城




「いい加減泣き止めッ!」

『だ、だってぇ・・』

怖いものは怖い。
恐ろしいのだ、あの森もあの廃墟も鬱蒼とした全てが。

「いねぇ!
うんなもん、いねぇんだよッ!!」

いない?

「いると思うなッ!
いねぇもんに怖がるなッ!!」

無茶苦茶だった。
それでも、何故か言い切った言葉に何故か説得力を感じた。

『・・本当に?』

「あぁ、いねぇんだよ」

フッと肩の力が抜ける。

古城の庭園。
薄暗い中で私は、噴水のそばでホッとため息を吐き出した。

流れ続けた涙もようやく止まる。
それを見た男も、ため息を1つ吐いた。

「わかったか、いねぇからな」

うんと、頷こうとした私は男の背後にある物を見た。
あれは・・・

『ギャーーーーッッ!!!』

ガシッと男の胸に飛び込む。

「!!?」

ブルブルと身体が震える。
声を出そうにも、言葉が上手く出ない。

「・・?!
まさかッ・・・ペローナッ!!」

「何?」

若い女の声が耳に届く。

「テメェ、これを消せ」

「かわいい子達を消せとは、馬鹿かお前は」

「こいつが怖かってるだろッ!
出すな消せッ!!」

いくつも感じていた気配がスーッと溶けたように消えた。
それでも、なかなか顔を上げれず男の胸の中に顔を埋め続ける。

「弱っちい女みたいね」

「テメェもさっさと消えろ」

言われなくても と、聞こえた声の持ち主が歩き去る音。
シーンと静まり返った庭園。

男の心音だけが聞こえる。

「・・悪ぃ。
世の中にはいろんなヤツがいるんだよ・・
骨だけのヤツもいるしな・・」

ほ!骨ッッ!!

抱き付く力をより一層強める。

骨だけって骸骨って事?!
骸骨って骨だけって事?!

「・・・骨、ブルックは陽気なヤツだ。
怖がる必要はねぇし、ここには・・いねぇ」

そう言って、私の背中に手を回すとギュッと抱きしめてくれた。

「さっきのは、ペローナって女で・・
お前が見たのはペットみてぇなもんで悪さは・・・多分しねぇ」

『・・多分なの?』

何でそこは断言してくれないのだろうと、不安がよぎるが心音と温かさに強張った身体がだんだんと解れていった。




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