第15章 第5話 古城
『ここは?』
「鷹の目の根城」
言葉数少ない男に、担がれたまま古城へ入って行く。
中は思ったより清潔。
人が住めそうなぐらいだ。
でも私は、例えお金を貰えるとしても絶対に住みたくはない。
「鷹の目、客だ」
投げ出される様に床に降ろされた。
痛いッ、もう少し降ろし方を考慮して欲しい。
「・・?!」
『あっ!ミホークっっ!!』
広々とした薄暗い室内で、1人掛けソファーに手摺に膝を突いて座るミホーク。
呑気なその姿を見た途端、怒りが爆発した。
『ミホークっ!何でこんな変な所に住んでるの!?
私がオバケ嫌いなの知ってるでしょう!
なのにどうしてッ!!
こんなジメジメしてて、鬱蒼としてて、暗くて陰湿で住み心地最悪な場所に何でわざわざ住んでるのよッッ!!!』
一気に吐き出した文句。
それでも涙が止まらない。
『この人がいなきゃ、私死んじゃうところだったんだよぉーっ』
唖然と見つめる男を指差しながら私は訴えた。
ミホークがいなきゃ、絶対に足を踏み入れない島。
冒険だと意気込む気力さえ出ない島。
『帰りたいッッ!!』
1秒も早く、この島から逃げ出したかった。
「、すまない。
落ち着いてくれ、お前に泣かれると困る」
どうにか宥めようとするミホーク。
途方に暮れながら、男に視線を移した。
「おい、の機嫌を治せ」
「はぁ?!」
「これも修行だ。
を泣き止ませて機嫌を戻せ。
出来なければ、これ以上修行は付けぬ」
何で俺がと、ブツブツ文句を言う男はミホークには逆らえないのか私をまた担ぎ部屋を出て行こうとする。
「おい?!」
「泣き止ませりゃいいんだろ!?
口出しすんなッ!」
「・・傷1つ付けてみろ、殺す」
「・・・ちっ」
舌打ちした男は、私を連れたまま部屋を出て行った。
何処に行くのか不安がより一層、涙を誘う。