第2章 告白現場
「はぁぁ……っ」
妄想が快楽に拍車をかける。頭から溶けていくみたいだ。今後の展開を想像して、期待と不安で、ちんこからよだれが止まらない。
と、俺の口に、何かが差し込まれた。
「声出したら、だめだから……」
姫さんの指だ。
声を出さないようにする、猿轡みたいなもの。俺に、黙れと言っているのだ。
しかし、俺は、声が出せないくらいでは、何とも思わなかった。むしろ、それを舐めながら、二人を鑑賞し続ける。すでに唾液の溜まった口内で、姫さんの指をふやかすかのように舌で遊ぶ。口呼吸が上手くできない分、つい鼻息が荒くなってしまう。
キャンディーみたいに、ぺろぺろぺろぺろ。純愛劇を見ながら、しこしこしこしこ。
「ねぇ、付き合ってほしいとは言わない……。でも……、一回だけ、抱きしめてほしい……かな……」
「それくらいなら……」
王子が委員長に歩み寄り、優しく抱きしめる。ああ、委員長の巨乳が、あの男に押し当てられて……。
「俺を好きになってくれて、嬉しい。応えられなくて、本当にごめんね」
どうしてこいつがもてるのか、ちょっとわかった。悔しいけど、優しさと、芯からの強さがある。今の俺みたいに、よく知らない女から誘われて、ほいほい身を委ねてしまったりしない。彼は、確かに、“格好いい”。
「幸せ……」
委員長が、若干涙声で呟き、王子を抱きしめ返す。
「……っ……」
あああ、俺も、幸せかもしれません。女に無縁のこの僕が、女の子の指でしごかれているのですから。多分、そういう風な考え方だから、もてないんですよね。イケメンなら、よくわからない女に身体を任せたりしないですよね。
「――ッ!!」
その、とき。
彼女は、こちらを向いた。少しでも王子の方を見ようとして、首を回しただけだと、思う。
あ。目が、合った。
俺は、絶頂した。
――びゅっ、びゅるるっ!
「ぁぐむう……!」
迎える気持ちよさと切なさに、何かを思い切り噛んだ。鉄の味が広がる。
「……何か言った?」
「え? し、幸せだなあって」
「? そう……」
「今日はありがとう。私、もう行くね」
「うん、じゃあね」
「……あ」
「ん?」
「いや、なんか、ここ濡れてるから。何だろうね」