【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第6章 それぞれの過去
一通り、今までの経緯を聞いた紫雨は
スクッ、と立ち上がり
「おいで、」
と一言紅夜に声をかけ、
人の姿のまま山を下り始める。
紅夜からは見えない紫雨の顔は
怒りで酷く歪められて。
麓についた紫雨は
「好きなだけやっちゃいな~っ!」
と紅夜の頭に軽く触れる。
妖力を分けた、のか・・・。
さっき、私がやったように。
途端に紅夜の身体は膨れ上がり
倍ほどの大きさになって人々を無差別に襲いだす。
妖力の量が多くて暴走してるのか・・・!
ハッとし紫雨を振り向けば
ニコニコと子供のように
楽しそうに、ただ紅夜を傍観していた。
・・・、こうなるって分かってて
わざと多めに妖力を移したのか。
いつもより一回り大きい紅夜は
憎しみに任せていとも簡単に人間を次々に傷つけていく。
あまりに悲しくて目を逸らしてしまいたくなる。
・・・それでも。
一瞬ギュっと、目をつぶるも
すぐに目を開き目の前の惨状を目に焼き付ける。
逸らしてはいけない。
紅夜の・・・
紫雨のずっと抱えてきたものだから。