• テキストサイズ

【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】

第6章 それぞれの過去


「この小屋を見て、俺はもう、生きることを完全に諦めました。
そもそも、ご主人が連れていかれた段階で、
奥さんが俺にとって蜘蛛の糸だったんですよ。

だからもう、このまま死のうとかそんなこと考えるよりも前に
体から力が抜けて、何も考えられなくなったんです」


目の前で崩れ落ちた幻の紅夜はピクリとも動かない。


「もう何もかもが一瞬でどうでも良くなって、全てを諦めた俺の元に現れたのが、紫雨様なんです。」

突然だった。


音も何もなく、気付けば私・・・否、紫雨は紅夜を見下ろすように立っていた。


「あら、可愛い子狐ちゃん。
ボロボロじゃないのー。
どーしたの?その体。
おねぇさんが治してあげる。」

・・・紫雨はこんな話し方をするのか。
そんなことも知らなかった。


「だ・・・れ・・・・
・・・・・な、・・・なに、を・・・」


紫雨が傷ついた紅夜の体を優しく撫でる。

「あーもう喋っちゃダメよ、しっ!
あたしはね、紫雨って言うの
これでも空狐よ?
あ、厳密に言えば空狐は彼岸なのかな?
ま、いっか!
そういうことだから、よろしくねーん!」


紫雨は一方的にそこまで話終えると
動かしていた手を止める。

紅夜の傷はもう一つも見当たらなかった。
/ 87ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp