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【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】

第5章 数千年の月日


常夜が今、体中包帯だらけなのは

紫雨の

・・・私のせいだ。


自分を抑えきれなかった
私のせい。


もし紫雨と話せるのなら紫雨にも謝りたい。


「謝るな。
俺は久方ぶりに狐と遊んだだけだ。
俺の力に対抗できるのなんて、今じゃお前ぐらいしかいない。
楽しませてもらったよ。」


私が横になっている布団の隣で
常夜は胡坐をかき、優しく微笑んだ。


細められたその目には確かに私が映っているのに
その先の何かを、

紫雨を見ている気がする。


私であって
私でない存在。

ズキリ、と胸の奥が痛む。


人間はこの感情を嫉妬と呼ぶのだろうか。


なんて我儘でなんて身勝手なんだろう。


見ず知らずの他人に向いている気持ちではない。


痛みを丸投げして
私は何も知らずに幸せな時を過ごしているのに

それでもなお足りないのか。


身勝手な私のせいで

痛みを一身に引き受けている紫雨に向いた

昔馴染みの友の優しい感情すら

私に向いてほしいと願うのか。


いや、例えばそれが見ず知らずの他人に向いた感情だとして
それにすら嫉妬する資格は私にはないのだ。


だって一度
私は歩み寄ってくれた常夜の手を
振り払っているのだから。
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