【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第4章 愛なんて知らなくて
屋敷の敷地から一歩踏み出そうとした
彼岸の姿をした、しかし彼岸ではない彼女は
見えない何かに突き当たった。
「ふぅん・・・
こーゆーことするんだぁ?」
右手を見えない何かに添え
触れている所にそっと妖力を込める。
小さく、パリン、とガラスの割れるような音がして
いとも簡単に結界は解かれた。
「あの子は私。
自分でかけた結界ぐらい、簡単に解けるに決まってるじゃーん」
やっぱばっかだねぇーと呟いて屋敷を出る。
道をたどるように頭上に提灯がかけられている。
提灯のかけられている木々は綺麗に色づいているようだ。
「あっりゃ、もしかして十五夜祭なのーん??」
だが彼岸が屋敷に駆け込んでから
しばらく意識を失っていたようで
提灯は色を失っているし、人間の気配はない。
「なーんだ、終わっちゃった後かーぁ」