【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
俯いて話す男、もとい世喜は
自殺するつもりでこの山に来たという。
そうか。
死ぬつもりだったのか。
ではなおさらあのまま連れ帰らずに
放置していれば今頃は骨だったろうに。
いや、もしくは骨さえ残っていないかもしれない。
「そうか、それは悪いことをしたな。
この山は多くの妖怪が住んでおる。
その中には人間を喰らうものも多く存在しておってな。
奴らの行動時間は夜じゃ。
あのまま見捨てていれば自殺なんざせずとも死ねたろうにの。」
話しながら世喜を眺めていれば、
俯いた顔が段々と青ざめていく。
自ら命を絶つのは良しとしても
さすがに得体の知れぬものに喰らわれるのは
恐怖を感じざるを得ないだろう。
「い、いや。
拾ってくれて助かった。
ありがとう。」
やっとのことで絞り出した蚊の鳴くような声は
感謝を告げるものだった。