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無色に色を【SARVAMP】

第1章 その名を呼ぶ。


リリイ「あぁも〜・・・そろそろネタバラシしてくださいよ〜?」

御園「ネタバラシだと?貴様一体誰にっ・・・!」




降参の意を含んだ言い方で店の中へそう呼びかけるリリイ。

ネタバラシ・・・?




月音「はいはーい。
・・・いらっしゃい、有栖院御園くん。
ようこそcolor色へ♪」

御園「貴様は・・・。
・・・どう言う意味だ、“これ”は」

月音「そんなピリピリしないでよ。
言ったでしょ、お互いに聞きたい事があるよねって。
御園くんが私に聞きたい事があるのと同じで、私も御園くんに聞きたい事がある。ただそれだけだよ」

御園「・・・・・・」




店の奥にあるカウンターテーブル。


・・・なるほどな、要は互いに情報交換をしたいと言う訳か。

いきなり現れたリリイに大して驚いていない様子から見て、やはり吸血鬼の事について何かしら知り得ているのは間違いないだろう。


リリイもリリイで、この女について何か知っているような感じだ。・・・ちっ、僕だけが知らないと言う事か。


と、そんな事を考えている内にリリイがカウンター席のひとつに腰掛けた。「ほら、御園」と促されて僕はまだ警戒しながらリリイの隣の席に座った。




月音「さーて、今日は取り敢えず一見(いちげん)さんって事でサービスにしてあげるよ。
どれでもひとつだけ選んでいーよー」

リリイ「ひとつだけ・・・うーん、そうですねえ・・・」

御園「・・・おい、喫茶店のメニューとはこんなに豊富なのか?」

月音「ん?
あー、他の店よりは多いだけだよ。せっかく来てくれたお客さんのオーダーには答えたいなーって思ってさ、まあ多いって言ってもコーヒーの種類が多いだけだけどね」

御園「・・・!
フォンダンショコラ・・・あるのか」

リリイ「おや、良かったじゃないですか御園。
お好きでしたよね、フォンダンショコラ」

御園「っ・・・うるさいぞ黙れリリイ!
ふん・・・まあ僕の舌には合わないだろうとは思うが、このフォンダンショコラを注文してやる」

リリイ「御園ったら・・・。
・・・では、私はコーヒーをお願いしましょうかね」




クスクスと隣で笑うリリイを軽く睨みつける。
カウンター越しの女は僕達の注文した物を作り始めた。

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