第17章 雪解けのように
蓮「君達が本気だと言うのなら私達は受け入れる。好奇の目に晒されるのが嫌だと言うのなら守る・・・今までできなかったことをさせてくれないか」
嘘だ、そんな風に言うなんて
「そんな、だって・・・俺のこと疎ましかったんじゃ」
蓮「そう思われても仕方ないな。君とどう接していけばいいか迷ったのも事実だ。それでもね、子どもがいない私達にとって大切な息子に変わりはない」
知らなかった
もっと疎まれていて、引き取ったのを後悔しているんじゃないかと思っていたのに
蓮「私達がもう少し歩み寄っていたらよかったな」
「すみません、俺・・・」
泣きそうだ
でも今は、思ったことを伝えてみよう
カラ松の時のように
それが必要なことだと教えてもらったから
「でも、今だからこそ言えることがあるんです」
ギュっと膝で拳を握る
「お二人が学校へ行くチャンスをくれたおかげで、カラ松に会えた。だから・・・感謝、しているんです」
蓮・結衣「・・・・・・」
「その、今からでも遅くないのなら、俺はちゃんと『家族』として、二人の『息子』として生きていきたい・・・です」
蓮「何を今更。君は・・・いや、は私達の息子だろう?なぁ」
結衣「えぇ。あなたがこの家に来た時から変わっていませんよ、君」
あぁ、名前を呼ばれた
そんな小さなことがこんなにも嬉しいなんて
カラ松が名前を呼ばれることにこだわっていたのが少しわかった
「これからもよろしくお願い、します・・・父さん、母さん」
向かいから叔父の、父さんの手が伸びてきて頭を撫でられた
母さんに至っては泣いている
長い間ギクシャクしていたのが嘘の様だ
なんだか照れくさいな
顔を二人から反らすと、カラ松と目が合った
目に涙を溜めて微笑んでいる
「なんでカラ松が泣いてんの」
カ「だって・・・よかったと思って。いいご家族だな」
「何言ってんの、その内その一員になるんだから」
結衣「あらあら」
蓮「本気なようだな」
そう、雪解けの様に誤解が氷解したのはカラ松のおかげでもある
戸籍や周りなんて関係ない
もし将来、叶うならカラ松と『家族』として共に過ごしていきたい