第3章 君が知りたい
side.
十「君、おはよー!」
「・・・はよ、十四松」
朝から元気だな、俺とは正反対だ
十「ご機嫌斜め?!」
ズイッと顔を寄せてくる十四松
止めろって言ってるのに・・・俺に絡むだけで格好の的になるぞ、あることないこと広まる噂のな
「や、別に」
そういや昨日の、カラ松だっけ
「なぁ、十四松。カラ松って兄貴どんな奴?」
十「カラ松兄さん?」
何で?と言いたげに首を傾げる
後ろから「やーん、可愛い~」と女子の声が聞こえた
あぁ、うるさい
「はぁ・・・いい、何でもないわ」
朝からやる気削がれた
全てが煩わしくなって、教室を出る
十四松がついてこようとしたから、制止しておいた
俺に合わせる必要はない
性格同様、俺とは正反対の場所にいるんだから
このまま屋上行くか
この時間なら授業になるし、誰もいないだろう
沈んだ気分を持ち直すために歌いたい
俺の唯一の楽しみだ
足早に屋上に向かい、戸を開ける
案の定人影はない
昨日と同じ場所で、フェンスに背を預ける
空を仰いで目を閉じた
静かに息を吸い込む
「♪~♪♪~」
何を歌うとかは決めてない
その時に頭に浮かんだものを口ずさむ
ただ恋愛ソングは歌わない
俺には愛が分からないから
「~♪♪~♪・・・」
あぁ、少し落ち着いた
ジャンキーみたいだな、なんてふと思って自分で笑ってしまった
カ「やっぱり良い声だな」
突然聞こえた声に肩をビクつかせた
「な・・・んで居るんだよ」
苛立ちが募り出す
さっき予鈴がなったはずだ
カ「授業という気分じゃなくてな」
だからって何でこのタイミングで
昨日からこいつに関わる、ということが自分の中で最悪なことに位置づけられた
「なぁ、頼むから関わらないでくれねぇ?」
カ「何か不都合か?」
何でこうも空気が読めないんだ
今までにないタイプで、戸惑いが広がる
「そう、じゃない・・・俺が関わりたくないんだ」
カ「それはの都合だろう?俺は俺の好きにさせてもらう」
え、なに、マジでなんなの
俺こいつ殴っていいか?いや、また変な噂が増えるだけだ
あぁ、クソッ
考えれば考えるほどイライラしてきて、頭をガシガシ掻く
きっとこうして考えること自体無駄なんだろうと悟った
「勝手にしろ」
やっぱり最悪だ