第13章 文化祭 1日目
「お帰りなさいませ、お嬢様(棒)」
十「お帰りなさいませ、お嬢様~」
十四松と2人で出迎えと席案内をする
何故だか分からないが廊下には長蛇の列。写真を撮りたいと言われる・・・全て断っているが
キャーキャーワイワイ、並ぶ女の子達をみると楽しそうだと思うが、理解は出来ないな
十「君、次!」
パタパタと走ってくる十四松
「飲食する場で走るんじゃない」
十「あい」
そんなやり取りをすれば黄色い歓声が上がる
『いやーん、執事さんが教育係みたい~』
『見習いメイドとかいいよね』
『クール執事たまんない!』
口々に言われるが、ホント冗談じゃない
帰りたい、逃げたい・・・早く終わってくれ
客を捌くのに精一杯で慌ただしく時間が過ぎていく
気が付けば昼も過ぎて、演劇部の舞台が始まってしまっていた
「悪い、少しだけ抜けていいか?」
A「休憩もなかったもんね、1時間くらいなら大丈夫よ」
その返事を聞くや、体育館に向けて走り出す
扉を開くとちょうどカラ松が舞台に立っていた
姫に叶わぬ想いを抱く役だと言っていたか
カ「何故、何故貴女なのだろう・・・決して結ばれることはないというのに。あぁ、運命は残酷だ・・・!」
スポットライトを浴び、姫への想いを吐露しながら涙を流す
どうしてカラ松の涙は綺麗だと思えるんだろうか
ここでも黄色い声が飛ぶ
カラ松に向けられたその声に苛立つ
カラ松は俺の恋人なんだ
お前らにはもったない
普段見れない演技をしているカラ松を観れたのはいいが、こんな苛立ちを感じなきゃいけないのは嫌だな
これ嫉妬なんだよな、多分
緞帳が降りると同時に足早に教室へ戻ることにした