第9章 少しだけ違う日常
side,カラ松
夏休みが明けて数週間
少しずつ休み気分も抜けてきた頃
やたらと聞くようになったことがある
『C組の君って雰囲気丸くなったよね』
『わかる、優しくなった気がする』
『彼女いるのかな~、私狙っちゃおうかな』
クラス内外で聞かれる会話
俺が恋人なんだって優越感に浸る
しかしが優しくなるのはいいことだが、ライバルが増えるのは困るな
やっぱり女がいいって言われたら俺には勝ち目がない
もしこの先の心が傾くような女性が現れたら?
俺はすんなり身を引けるだろうか
否、自分の気持ちに嘘はつけない
カ「はぁ」
溜息をついて机に突っ伏す
あんな会話聞こえなければよかったのに
伏せっていると、急に教室内が色めき立った
「なにしてんの」
聞こえるはずがない声がして勢いよく起き上がる
カ「ど、どうしたんだ」
休み時間とはいえわざわざこちらに来るなんて
は上半身を屈め、俺の耳元で
「俺昼にいつものとこにいるから、来たかったらくれば・・・カラ松ならいいから」
囁くように小さな声でいうと、上半身を起こした
目が合う、フワッと微笑まれた
トクンと胸が高鳴る
と同時に、周りでみていた女子がキャーキャー言い出す
「るせ・・・なんだよ、いきなり」
気付かぬは本人ばかりなり
「んじゃ、そういうわけだから」
いつかの時みたいに背を向け、左手をプラプラ振って行ってしまった
この後カラ松が周りから質問責めに合うなんて、彼は知らないんだろう
今までこんなに騒がしかったことは無かったのに
ましてのことをひっきりなしに聞かれるとは
彼と付き合うようになって少し変わった日常
楽しい反面、周りが色めき立つのが少しだけ嫌になった