第3章 吉良吉影の殺人理由 *吉影*
レモンティーを飲みながら葉音は僕の話を何時も聞いてくれる。
葉音が好きな花の話、どんな形かとか、どんな色かとか、そんな下らない話だけれど僕はこの時間がとてつもなく好きだ。
「吉影は物知りですね
今度、出掛ける時は花畑と言う処にも行ってみたいです
とても良い花の香りがしそうですね」
「近々花畑に行こうか
あぁ、とても良い匂いがしそうだ」
そう言って白色のカップに注がれたブラックコーヒーを口に含む。
優雅な時間、葉音との時間、人生の中で最高の時間。
この時間は誰にも奪われたくはない。
なのに…何故なんだ?
この世は不平等だ、御偉いさんは平等にしよう平等にしようなんてほざくけどさ、そんな事は人類が消滅するまで無理なんだよ。
だってそうじゃあないか。
たった一人の人間の命さえ保証されない世の中だ、腐りきってる。
そんな事を僕は態々、今、考えている。
葉音が車に引き裂かれる瞬間、手を伸ばす事も愚か声も掛けられなかった。
一秒が何分もの感覚だ。
あぁ、葉音…葉音、逝かないでくれ、僕だけを置いて逝かないで、まだ約束が残っているじゃあないか。
「葉音…」