第5章 変化
「さあ……どうだろ」
サーシャの能力はすごく素敵だと思う。どうしてゼラと比べたがるの?馬鹿じゃないのって思うくらいに。リアムだって、とても綺麗な容姿なのにそれを劣っていると感じるだなんてあほらしい、と思った。
でも、私は………私はどうしようもないの。だって、妖怪女で人間もどきだもの。どうしようもない。比べるもなにも、比べるものがない。私の存在自体が異質なんだ。
「キミはなんて………」
びくん、と体が震えた。
サーシャが何を言おうとしたのか分からない。でも、それより………!
熱い……この感じ、知ってる。
「はあっ、はあ、サー、シャ………っ!」
どうしてこんな時に……?
私は望んでいないのに……!どうして!
「っ!?どうしたの!?……っ、まさかっ」
サーシャに抱き抱えられる。
「もうちょっとだけ待ってくれる?部屋に運ぶから」
嫌だ………。
サーシャに抱かれたくない。でも、確かに私は求めている。
嫌だ。私が抱かれたいのは………!
え………?
私が抱かれたいのは?
「…………ルシ………ファ、ム」
違う。違う。
違う………はずなのに、どうしてルシファムをこんなに恋しく思うの?誰か……教えて………。
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【ルシファムside】
もう準備は出来た。
「ミアーシェ、行くぞ」
「ええ」
早くさやかを助けに行かないと。
あいつは俺を許してくれるだろうか。無情にもあいつをゼラの元へ送ったこの俺を、許してはくれないだろうか。
いや、許してくれだなんて高望みしすぎか。あいつがそばにいるだけ俺は………
「兄様……」
ミアーシェが呼んだドラゴンに乗ろうとしていると、後ろからリアムが俺を呼ぶ声がした。
「リアム……!お前、どうして……」
「僕も連れて行って」
リアムが睨むような鋭い視線で俺に頼む。強くてまっすぐな眼。
俺が拒否する権利など、ない。
「乗れ。急ぐぞ」
待ってろ、さやか。
お前を必ず取り戻す!