第4章 来客
最初はここがテーマパークの悪質なドッキリだいうことを信じて疑わなかったのだが、それから色々あった為に信じざるを得なくなってしまった。まだどこか心の中ではドッキリあるいは夢だということを願っていたのだが、ルシファムと一度繋がり、リアムとの出会いもあり…………。私には信じるという選択肢しか残されていないのだ。
「さやか?どうしたの?」
庭に置いてあるベンチに一緒に腰掛けているリアムが、黙ったままの私を不審に思い、声をかけてきた。今は彼を隠していたフードはなくなり、皇子らしくきらびやかな服を身にまとっている。食事も私とルシファムとリアムの三人で食べている。気のせいかもしれないが、ルシファムもどこか嬉しそうにしている。
「なんか、色々あったなって」
私がぽつりと呟くと、リアムが私の手を握った。
「これからもいっぱい色々あるよ」
あまりにも落ち着いた声でそう言うものだから、私はちらりとリアムの横顔を盗み見た。
「だって、さやかはまだ魔界のことあまり知らないでしょ?」
確かにその通りだ。
私はまだこの城から出たことがないのだ。よく言えば、外の世界を知らないお姫様状態。悪く言えば、世間知らずのお姫様、もしくは、鳥籠から出られない鳥状態。あ、外の世界を知らないお姫様状態と世間知らずのお姫様状態ってほとんど一緒の意味か。まあとにかく、悪く言おうが言わまいが、魔界について無知なことに変わりはない。
「兄様に頼んでみる?」
城の外を想像して、知らず知らずのうちににやけている私を見たリアムが私を見て首を傾げる。
確かに、頼んでみるのもいいかもしれない。いざとなれば無理矢理にでも城から脱出してやる。