第2章 初めて
「んっ………はぁっ、んぅ………」
抱きしめられてすぐに、ルシファムが私に深いキスを落とした。初めてのキス。それが、こんな形だなんて………。唇と唇を合わせる、初々しいキスではない。私の唇を割って、ルシファムの舌が私の口内を犯す。
「もっと……っん、舌、出せ……はぁっ」
言われた通りに舌を突き出す。不思議と恥ずかしさはない。それどころか、キスをすればするほどに私の意識ははっきりとしていく。
いつの間にか、ルシファムの首に手を回し、自らキスを仕掛けていた。初めてなのに、なぜかキスの方法を知っている。
これこそが、私が淫魔である証拠なのだろうか。
酸欠になりそうなくらいにキスをして、一度口を離す。お互いの口から唾液が糸を引いた。
「お前、経験は?」
「もちろん、ない」
人間不信で引きこもりだった私に経験などあるはずがない。
「にしては上手すぎる。やはり、淫魔だからか」
もう熱に侵されてしまった私には、そんなことを考えている余裕などない。早く続きをしたい。今、私が考えているのはただそれだけ。
私の上に乗っていたルシファムをベッドに押し倒した。
「っ、おい!」
私はルシファムの上にまたがり、またキスをした。もっと、もっともっともっと………!
「ん、ふっ……ぁっ………」
もう耐えれない、というようにルシファムが私を無理やり引きはがす。荒い息をつき、その快感に身を震わせた。
「っ……さやか、お前はっ………!」
何を言おうとしたのか、私には分からない。彼は続きを言う前に、片手で額を押さえた。その頬はどこか赤いような気がする。
またキスをしようとしたその時、私の下部に何かが当たった。下着越しに伝わってきたそれは私のいい所を刺激する。
「ルシファム………、勃ってる?」
我ながらなかなか大胆な質問をしたと思う。それでもルシファムは涼しい顔をして答える。先程までの動揺なんて見えもしない。
「ああ、お前が淫らなせいでな」