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愛を紡ぐ~二人の欠片(カタチ)~

第9章 君の名を呼ぶ紅と虹 【R18】


「お前、一人か?」

「うん、誰もいないよ。安心して」

(秀吉さん達に見つかったら、戦になりかねないもんね…)

春日山に身を置く幸村は佐助と共に行商として、安土に潜入しているが、佐助とめいに繋がりがある事を知り、敵視していない

「そーか。佐助なら庵にいるはずだ」

「そうなの?」

(珍しいな、幸村一人でここにいるなんて…)

「あぁ、俺はもう少ししたら店たたんで一里先へ行く。信玄様が甘味が食いたいとかふざけた文寄越したからな、食いすぎねーよーに止めに行く」


「ふふっ信玄様らしいね」

(仲いいな、信玄様と幸村って)

「笑い事じゃねーぞ。ここに信玄様がいなくて良かった。お前みたいな女でも口説かれるぞ?あの人の女好きにも世話が焼ける」

信玄と顔を合わす度、見境なく甘い言葉をかけられた事を思い出し顔が赤くなると

「お前、顔赤いぞ?変なもん食ったか?」

「っー!幸村デリカシーなさすぎっ!」

「あ?でりかし?なんだそれ?お前も佐助も意味わかんねーこと言うよな」

「女心が分かってないってことっ!」

(幸村のバカ!)

「イノシシ女の心なんてわかるわけねーだろ。さてと、俺はそろそろ行く。じゃーな。イノシシ女!」

てきぱきと店仕舞いを終えた幸村はひらひらと手を振り風呂敷包を担ぎ、城下を後にした







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少し歩き、小道を曲がると佐助たちの隠れ家である庵が見えた

「佐助君、いる?」

念のため声をかけたが中から返事は無かった。不在の場合、赤青白の布きれが扉に結び付けられ、赤は暫く此処に来ない、青は暫くすれば戻る、白は中にいると言う暗号になっている

(えーと、鍵の開け方は確か…)


忍者である佐助は施錠にもからくりを儲けている。時折出入りするめいはその仕掛けを教えてもらい、慣れぬ手つきでからくりを解き中へ入った

(白か青の場合、中にどうぞって言われてるけどいつ戻るかな…)


静まり返った庵の中、ただ、想い人を待ちわびた。


半刻過ぎた頃、佐助は戻ってきた。中でめいは横たわり小さな寝息を立てている

「めいさん?」

穏やかな顔ですやすやと眠るめい。佐助はそっと膝の上に頭を乗せ眠るめいを見守った

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