第8章 雲掴む志と風 【R18】
桶に汲んだお湯で優しく髪を洗い流し、手拭いで髪を拭いた後、さっと髪を束ねる
「今度は体洗うから」
「いいよ!自分で出来るよっ!」
(今更恥ずかしがって…可愛い)
「何で恥ずかしがってるの?何度も見てるでしょ?」
「だ、だって…」
「いーから。ほら洗うよ」
敏感な部分を避け、手際よく洗い終えかけ湯し、そっと抱き上げ湯船にめいを浸ける
「寒いから浸かってて。すぐ洗って入るから」
(本当は離れたくないし、もっと甘やかしたい)
大人しく湯につかり、家康を待っていた
逆上せないように上半身を出し、湯殿の縁に体を預け、恥ずかしそうに背を向けている
(色っぽい…いや、だめだ抑えろ俺)
傷一つない肌に湯の雫が滴り落ち艶めかしく光っている
「めい、こっち、きて」
湯船に戻った家康はそっと自分の方へ手を引き、膝の上に座らせた
「冷えてない?」
「うん、逆上せないように少し体を冷やしたけど、今丁度いいよ」
肩口は触ると少し冷えている
「だめ、冷えてる。ちゃんと肩まで浸かって」
(またぶり返したらどうするの)
「う、うん」
ぴったりと密着させするように抱き寄せ首筋にお湯をかける。驚き少し身じろいだが、めいは大人しく家康に寄りかかった
「ちゃんと温もった?」
「うん、凄く温かいよ」
「分かった。じゃあ、出るね」
「え!?自分で出れるよっ!!」
「だめ、あんた危なっかしいって言ってるでしょ?」
横抱きにしたまま家康は湯殿から上がり、優しく体を拭きあげ、夜着を着せた
(前向きで着せるのは流石に理性崩れるな)
後ろから手を回し夜着を着せ、自身も着替えると手を引き、湯殿を後にする。いつもなら、廊下で手を繋ぎ歩く事などない。めいも驚いていた
(悔しいけど、光秀さんの言葉が離れない。今日くらいは…)
家康なりの優しさだった。家臣に、女中に見られても構わない。何より床に伏せていた愛しい女を一人歩かせたくなかった
褥に着くと胡座かき、めいを引き寄せる
「ここに座って、髪の毛ちゃんと拭かないと湯冷めするから」
こくりと頷き、素直に膝の上に座る。優しく丁寧に手拭いで髪を拭き上げ最後に櫛で丁寧に髪を梳かした
「ほら、いいよ」
「うん…ありがとう」